「大好きよ」



「りーさん……うぅ……ごめ、なさい……」




もう、涙を止められない。




「何で愛珠ちゃんが謝るの」




何度自分の血を腐っていると思っただろう。

何度遺伝子など無ければいいと思っただろう。



あの人達の遺伝子を全て捨てて、全く新しい血が欲しかった。



“ああなりたくない”と、どこかで彼らを反面教師にして生きてきた。



でもやっぱり、家に閉じ込められている以上考え方とか性格とか根底の部分にあの人達の色がついていて。



それは物心がつく前から刷り込まれてしまっているもので、自分のそんな部分が嫌いだった。



私はあの人達とは違うと思っても、どうしても彼らの血をついでいると実感してしまう時があった。



それに、反面教師という形ですら彼らが私に影響を与えていることは事実で、私は自分が嫌いになりそうだった。



勿論、そんな風に肉親のことを思ってはいけないという気持ちとも何度も対峙してきた。






“彼らの子供である以前に、一人の人間”


“あなたと彼らは別々の人間なのよ”






それは、何が正しいのか分からなくなっていた私が、ずっと言って欲しかった言葉だったんだ。




泣く私を隼人が抱き、その周りを隼人一家が囲んでいた。




「……っ、ありがとう……ございます……」











それはとても、とても温かいものだった。

知らなかった私に、隼人と、隼人一家が教えてくれた。





彼が居るだけで、私の世界に色がつく。



温かい須貝家の中に居ていいと言ってもらえたことが、何よりも幸せだった。