全てを聞き終わって、最初に口を開いたのは意外にもお義父さんだった。
「あなたのお父さんがしたことは、私は芽里の父親だから許すことは難しい」
「はい」
「でもあなたを責めるつもりはないよ」
「えっ……？」
優しい声に、思わず顔を上げる。
「あなたは彼の被害者でしょう。いや、“彼ら”かな？ それに、あなたはあなただ。彼らの子供である以前に、一人の人間。私達はあなたの人間性を知っている。隼人からもずっと前から話を聞いていたし」
予想外の言葉だった。
お義母さんも口を開く。
「そうよ。あなたが良い子だって、うちの家族は全員知っているわ。全員、あなたのことが好きなのよ」
涙をこらえきれなかった。
張り詰めていた緊張が切れる。
「あなたに罪は無いの。あなたと彼らは別々の人間なのよ。最初から、“許す” “許さない”の話ではないの。あなたは謝らなくていいのよ」
自分が何故泣いているのかも分からない。
涙を止めようと思っても意思に反してそれは流れ続けた。
「ほら、泣かないで？」
お義母さんが、ハンカチを渡してくれる。
「ありがとうございます……」
そして、りーさんの元へみんなで行くと、彼女は既に目を覚ましていた。
「愛珠ちゃん……あなたは大切な妹よ」
私がまだ何も言っていないのに、りーさんはそう言う。
