もう抑えられないくらい、頭に血がのぼっていた。



「今第一にすべきことは芽里さんに謝ることでしょう!! 何でこんなことしたの!? 最っ低!! 」



拳に力が入る。
父親は何も言わない。それが更に苛ついた。



「どうしてあんた達は自分の話しか出来ないの!? ……どうしてあんたは自分の子だと認められないの? 何に怯えてんの? 何の腹いせに私に酒なんか注がせてんの!?」



「腹いせなんかじゃ……」



「だったら何なんだよっ!! 私はキャバ嬢じゃない!」



「うるせえな! 大体俺は子供なんかいらなかったんだよ!」



吐き捨てるように彼は言う。




「子供が欲しくないなら何で作ったの!? 私だけならまだいい。だけど、どうしてまたそうやって同じことを繰り返すの!? 何も学習してないじゃない!!」



我先にと言葉が口から出ていく。



「ふざけんなっ!! 子供は自分の付属品じゃない! 分身でもない、都合のいい召し使いじゃない!」





二人――両親――に向けての言葉。






「子供を作るって言うのは新しい個体を生み出すってことなんだよ。自分の子供だからって好きにしていい訳じゃない! 勝手に傷付けて良い訳じゃない! 親には作ったからにはその責任を持つ義務があるんじゃないの!?」





私の息遣いだけが聞こえてくる。







「こっちだって、好きであんたらの子供に生まれてきたわけじゃない!!」






二人の表情は変わらなくて、何を考えているのか分からない。






「もうこれ以上そんな子を増やさないでよ!」






静かに、隼人が私の肩を抱く。