「あ、そうそう、隼人。明日、愛珠ちゃんが家に行くの付いてってやって?」
思い出したようにおね……もとい、りーさんが言う。
「は? あの家に戻るなんて許さねえよ?」
隼人は怪訝そうに目を細める。
流石姉弟! りーさんと同じこと言ってる。
「ああ、ごめん。そういうことじゃ無くて、うちに来るのに最低限必要なものを取りに行かないと」
「ああ、そういうことか。了解」
意味を理解するとホッとしたように承諾した隼人。
「じゃ、そろそろご飯にしましょう!」
それを合図に、私は夕食を作り始めた。
なんでも、二人のご両親はお医者さんで、帰りが遅いらしい。
いつも通り、ある材料で料理をする私の横でりーさんが感心したように声をあげる。
「愛珠ちゃん料理上手ね~。隼人、良い子ものにしたわね。あんたには勿体無いわ~」
「うるせえ。んなこと分かってるわ」
ムッとしたように言い返す隼人。
でもよく聞くと私を褒めてくれてるよね、それ。
作ってあげたいと思ってする料理は今までしてきたのと全く別物だった。
気持ちひとつでこんなにも日常って変わるのだと思い知る。