「今日、人に――須貝先輩に初めて自分の気持ち打ち明けた。やっぱり苦しくてどうしても泣いちゃって。須貝先輩優しいから慰めてくれたの。勘違いしてるよね? ごめん」
「あ、いや……」
今、何て言えば麻友子を傷付けないですむのか分からなかった。
「私って好きな人にどう接していいか分かんなくなっちゃうタイプでさ。愛珠と話したいのに全然自分から話しかけられなかった。愛珠の隣に居たいのに緊張しちゃうから段々隣にすら座れなくなって」
馬鹿だよね、と麻友子は笑う。
「告白しようとなんて思わなかった。絶対、叶わないから」
「えっ、と……」
「でも須貝先輩のお陰でちゃんと自分の気持ち無かったことにしないで言おうって思えたの。……愛珠、ちゃんと返事聞かせて」
下を向いたまま、麻友子は言う。
言葉を選ぶのに時間がかかった。
その部屋の空気全てがとんでもない質量を持って私にのし掛かってくるようだった。

