「あっ、見て見て! 須貝先輩だよ! ちょっと愛珠、ほらこっち!」



隣のクラスの友達が廊下で私を呼び止める。



「えー? どこー?」



「ほら、あそこ! 正門のとこ!」



「遠すぎて見えないよ~」



その時丁度後ろを通った友達が会話にさりげなく参入してくる。



「それな~。もっと近くで顔面を拝みたい」



「あっ、でもこの前聞いたんだけど須貝先輩ってあんまり人と絡まないんだって」



「はっ? どーいうこと?」





「いわゆる、一匹狼ってやつ? 誘われても遊びにもほとんど行かないんだって」





「え~なにそれもったいない~。あんなにイケメンなのに~……」



二人で盛り上がる声は、空の積乱雲を眺めるのに一生懸命な私には全く届いていなかった。







雷、鳴りそうだなあ。