旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

彼はそれをわかっていて、わざと私をドキドキさせるようなことを言ったり、したりしているのだろうか。

「どうした、芽衣。可愛い顔をしてくれないと困る」

「あ、ごめんなさい」

急いで笑顔を取り繕う。するとお兄ちゃんは持参したデジカメと自分のスマホ、そして門脇部長のスマホでそれぞれ写真を撮った。

「ほらよ、芽衣がよーく可愛く撮れているか、ちゃんと確認しろ」

「サンキュ」

お兄ちゃんからスマホを受け取ると、やっと彼は私を解放してくれた。ホッとしたのも束の間、門脇部長は私にピタリと寄り添った。

「芽衣ちゃん、見て。昴にしては上手に撮ってくれたよ」

そう言って見せられたのは、肩を抱かれて緊張で固まっている私と彼の写真。

あぁ、もろにドキドキしているのが顔に出ていて恥ずかしい。

できることなら、今すぐに写真を削除してほしいところなのに、彼の口からとんでもない話が飛び出た。

「父さんたちに送る写真はこれでいいな」

「……えっ!?」

思わず声を上げると、門脇部長はスマホを操作しながら、面倒そうに言う。