旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

「俊也、お前っ……!」

怒りで身体を震わせるお兄ちゃんに、門脇部長は自信たっぷりに言った。

「悪いけど俺、芽衣ちゃん一筋だから。絶対浮気なんてしない」

断言する彼に、お兄ちゃんは唇をギュッと噛みしめた。

「わかったら早く写真撮ってくれよ、お義兄さん。ついでに俺のスマホでも撮ってくれない?」

そう言いながら門脇部長はポケットの中からスマホを取り、お兄ちゃんに差し出した。

「ふん! 今の言葉……一生忘れるなよ?」

「もちろん」

お兄ちゃんは門脇部長の手から乱暴にスマホを取ると、私たちと少し距離を取る。

「ほら、芽衣ちゃん。笑顔」

「は、はい……」

返事をしたものの、苦しいくらい胸は締めつけられていて笑えそうにない。

なに? さっきの。『芽衣ちゃん一筋だから。絶対浮気なんてしない』だなんて……。

ただ、利害の一致で結婚をしただけだよね? そりゃこの先、お互い好きになっていけたら……とは、話していたけれど……。

門脇部長の言動に、私の心は大きく揺さぶられてばかり。あんなことを言われたら、誰だって意識しちゃうはず。