自信たっぷりに言うお兄ちゃんに呆れながら、お父さんは門脇部長に改めて言った。

「芽衣の相手として、キミ以上の適任者はいないよ。……どうか芽衣をよろしくお願いします」

頭を下げるお父さんに続いて、お母さんも門脇部長に頭を下げた。

いまだに頭の中は混乱したままだけど、ふたりの姿に今は素直に彼を連れてきてよかった。心からそう思えた。

色々あったけれど、ここまで育ててもらった恩義がある。それはきっと、彼と結婚することで返せる。そう思えるから。

顔を上げたお母さんに真剣な瞳を向けられ、心臓が跳ねる。

「芽衣さん、ドラッグストア・アオノの次期後継者の方に嫁ぐからには、しっかりと俊也君を支えてください」

「――え」

お母さん……今、なんて言った?

門脇部長がうちの会社の後継者だなんて嘘でしょ?

ずっと同じ家柄の相手との結婚が嫌で婚活を頑張ってきた。それなのに、やっと見つけた相手がうちの会社の御曹司だったってこと?