旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

結婚するにあたっての、最大の難関を彼なら突破してくれそうだから。だったらこのまま結婚してもいいと思っていない?

いくら今すぐにでも普通の結婚がしたかったからって、本当にいいの? 門脇部長と結婚しても。

自問自答を繰り返しても、なかなか正しい答えにたどり着けない。

膝の上にある手をギュッと握りしめた時、お母さんは深く息を吐いた。

「それを聞き、安心しました。……俊也君なら、我が久我家に相応しいお相手ですし、私は反対いたしません」

「そうだな。人柄はもちろん、家柄も申し分ない」

お母さんに続いて、お父さんもご満悦に言うものだから引っかかる。家柄も申し分ないってどういうこと?
まるで門脇部長も、実家がうちと同じような物言いじゃない?

疑問が膨れる中、お兄ちゃんが刺々しく言った。

「芽衣と結婚するならいい加減、身分を偽って働くのはやめたらどうだ?」

身分を偽るって……なに?

私を置いてけぼりにして、みんな話を進めていく。