旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

「おいで、芽衣。父さんも母さんも芽衣に会いたがっていたんだ」

お兄ちゃんに笑顔で手招きされるものの、顔が強張る。

「……うん」

いよいよ両親に会うんだと思うと、身体中に緊張がはしる。

「行こう、芽衣ちゃん」

門脇部長にも促され、大きな表札に書かれた“久我(くが)”の文字を見ながら敷地に足を踏み入れた。

玄関から全面大理石が敷かれていて、三階まで吹き抜けになっている。天窓から太陽の日差しが届いてキラキラと光り輝いていた。

お兄ちゃんを先頭に門脇部長と肩を並べて廊下を突き進んでいくと、ドアの先には広々としたリビングが広がっている。

百平米もあるリビングには、ふかふかのソファに十人掛けのダイニングテーブル。そして冬に大活躍する暖炉まである。

部屋に入ってきた私たちを見て、両親はソファから立ち上がった。

「久しぶりだな、俊也君。キミが芽衣の結婚相手だと昴から聞いた時は嬉しかったよ」

にこやかに手を挙げるお父さんに、門脇部長も営業スマイル見せた。