旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

「俊也お前、芽衣のことを気安く『芽衣ちゃん』と呼ぶな。俺の許可を取ってからにしろ」

「どうして昴の許可が必要なんだよ。言っておくがお前は芽衣ちゃんにとってただの兄だけど、俺は夫になるんだ。お前より上だろ?」

「なにを言ってる! 血が繋がっている俺の方がお前より上に決まっているだろうが。結婚したってお前は所詮、他人だろ?」

小学生のような言い合いをするふたりに、呆れ果てる。

だけど門脇部長は、次々と私が不安に思っていた問題をクリアしていく。

家のこともお兄ちゃんと友達だったってことは、当然知っていただろうし。……知っていて、プロポーズしてくれたんだよね?

それにこのお兄ちゃんもある意味不安要素だったけど、門脇部長なら大丈夫そう。

言い合いをしながらも、ふたりの仲の良さを感じていると、インターホンからいつまでも家に入ってこない私たちに痺れを切らしたお父さんの声が聞こえてきた。

「なにやってるんだ、昴。早く入ってもらいなさい」

お父さんの声にお兄ちゃんはハッとし、大きく咳払いをした。