旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

だってまさかふたりがそんな昔から知り合いだったなんて……。全く知らなかった。

「ごめんね、芽衣ちゃん。内緒にしてて。……だから芽衣ちゃんの実家も知っていたんだ。ここには何度か来たことがあったから」

「そうだったんですね……」

お兄ちゃんの友達が家に来ていたことは知っている。だけどお兄ちゃんってば、友達が私に惚れたら大変だから……なんて意味のわからないことを言って、一度も会わせてはくれなかった。

だからずっとお兄ちゃんの交友関係は謎のままだったんだけど、まさか門脇部長と友達だったなんて――。

「教えてくれたってよかったじゃないですか」

ボソッと門脇部長に文句を言うと、彼はなぜかどこか嬉しそうに笑う。

「芽衣ちゃんのそのいじけた顔が見たかったからさ。……びっくりした?」

「……はい」

返事をすると彼は満足そう。

いじけた顔が見たかったなんて、門脇部長ってば意外とイジワルだ。

ご満悦な様子の彼をジロリと睨んでいると、私たちの間にお兄ちゃんが割って入ってきた。