旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

歳が離れているからか、お兄ちゃんは昔から過保護だった。私に向けられる愛情を嬉しく思いながらも、時折困ることもしばしば。

抱きしめられる覚悟を決めた時、スッとお兄ちゃんから私を隠すように門脇部長が立った。

「え……門脇部長?」

大きな背中に声を掛けると、信じられない言葉が耳に届いた。

「いい加減シスコンは卒業しろよ、昴」

「俺はまだお前を芽衣の結婚相手として、認めたわけじゃないからな? 俊也」

初対面のはずのふたりがお互い下の名前で呼び合っていることに、驚きを隠せない。それもかなりの親密ぶりがうかがえる。

もしかしてもしかしなくても、ふたりは顔見知り……?

火花を散らすお兄ちゃんと門脇部長を交互に見る。すると私の視線に気づいたふたりは、バツが悪そうにお互いそっぽ向いた。

「昴とは、中学からの腐れ縁なんだ」

「あぁ、不本意ながら今も付き合いが続いている」

説明されるものの、びっくりして声が出ない。