旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

わかっているって……どうして? あれ、でもさっきも門脇部長、今出るとちょうど五分前に着くだなんて、まるで駅から実家までの距離を知っているような口ぶりだったよね。

教えていないのにどうして知っているの? 会社の提出書類にはひとり暮らししているマンションの住所しか書いていないし、彼が知る術はないはずなのに……。

疑問は膨れ、運転する彼に尋ねた。

「あの、どうして私の実家を知っているんですか?」

「んー、それは内緒」

「内緒って……」

その後もどんなに聞いても教えてもらえないまま、車は真っ直ぐ実家へと向かっていく。

次第に見慣れた景色が目に入る。都内の高級住宅街は、いつ来てもどの家も立派で目を奪われてしまうほど。

訪れるたびに、数年前まで自分もここに住んでいたことが信じられなくなる。

門脇部長は宣言通り、一切私から聞くことなく真っ直ぐに私の実家にたどり着いた。

駐車場に車を停めて先に降りた彼に続いて私も車から降りる。