旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

車と門脇部長に挟まれて、近すぎる距離間に微動だにできない。顔を上げれば彼の顔が間近に迫ってきて、パニックになる。

ど、どうしようまたキスされる? でも結婚するって言ったわけだし、そういうオプションも当然ながら含まれているんだよね?

視線は下がり、どうしたらいいのかとわからなくなる。……だけどすぐに聞こえてきた「クククッ」の声に、からかわれたんだと気づいた。

再び顔を上げて彼を見れば、口に手を当てて、必死に笑いをこらえていた。

「もう、門脇部長!?」

「アハハッ……! ごめんごめん、芽衣ちゃんがあまりに可愛い反応をするから、ついからかいたくなって……。でもおかげでお互い緊張は解けただろ?」

「緊張は解けたって……え、お互い?」

信じられない話に、大きく目を見開いた。

たしかに私はこれから門脇部長と共に実家へ行くんだと思うと、緊張と不安で押し潰されそうだった。

だけどそれは私だけだと思っていたのに……まさか門脇部長も緊張していたの?

ジッと見つめていると、彼は顔をしかめた。