旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

突然の事態に、なぜに手を繋ぐ必要があるのですか!? と言葉が続かない。

「いいだろ? 俺たち、結婚するんだから」

シレッと言うとスタスタと歩を進めていく。

これまでに男性と付き合った経験はあるし、こうして手を繋いでデートをしたことだってある。
それなのに相手が門脇部長というだけで、どうしてこんなにも心を乱されているわけ?

その答えは出ないまま、ロータリーの近くにある駐車場へ向かうと、彼は白のセダンの前で足を止めた。

そして意味ありげな瞳を私に向けた。

「それに手を繋ぐよりもっと恋人らしいことをした仲だろ?」

恋人らしいことって……。

一瞬フリーズするも、すぐにこの前のキスだとわかり顔が熱くなる。

「あれは門脇部長が勝手にしたわけでして……!」

決して合意の上でのキスではなかった。

「じゃあもう一度する?」

そう言うと彼は私との距離を縮めた。