胸の奥がギューギューに締めつけられて苦しい。もっと俊也さんのぬくもりに触れていたい。このまま離れたくない。

必死に彼の背中に腕を回してしがみつく。
だけどすぐに引き離された。

「帰ろうか。……送る」

え……送るって、私の実家にってことだよね?

どこかでこのまま、彼のマンションに連れ帰ってくれることを期待していた。あんなに甘いキスをして、俊也さんは私のことを帰しちゃうんだ。

私の気持ちとは裏腹に彼は帰り支度を進める。

結婚当初は一線を越えていないながらも、俊也さんの方からグイグイ責めてきてくれたのに……。

私はもっと彼と一緒にいたい。帰りたくなんてない。

気持ちは大きくなり、袖を掴んだ。

「……芽衣?」

不思議そうに私を見る彼に、恥ずかしくなる。

言っても平気? 引かれたりしない? ……でも俊也さんと今夜は一緒にいたい。

勇気を振り絞って彼に伝えた。

「私はまだ、帰りたくありません」

「……え」

びっくりしている彼に、羞恥心を捨てて気持ちをぶつけた。