咄嗟に「すみません」と言いそうになり、口を結んだ。私も椅子に座り、各店から上がってきた発注書をプリントしたものを渡した。

「ありがとうございます。じゃあ発注の方をお願いします」

「了解」

それから俊也さんに手伝ってもらいながら仕事を進める中、願ってしまった。これから先もずっと、こうして彼とふたりで肩を並べていきたいと。いつか私が彼を支えられたらいいな……。

無事に仕事が終わる頃には、二十一時を回っていた。

「ありがとうございました」

改めてお礼を言うと、俊也さんは優しく私の頭を撫でた。

「どういたしまして。……でもそうだな、お礼をもらってもいいか?」

「お礼、ですか?」

キョトンとなる私に俊也さんは唇の端を吊り上げると、後頭部に手を回し引き寄せた。

「んっ……!」

一瞬にして奪われた唇に、声が漏れる。

「俊也さっ……」

苦しくてキスの合間に彼の名前を呼ぶものの、離してくれない。次第に息が上がる頃、やっと唇が離れた。

だけど彼はすぐに唇が触れてしまいそうな距離で、親指で私の唇を撫でた。

「好きだよ、芽衣」

そしてまた愛の言葉を囁くと、ふわりと抱きしめられた。