旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

「……もう、いい加減ウジウジし過ぎ」

来月には玲子と婚活パーティーに行くって決めたじゃない。

仕事だって織田先輩が戻ってきたら、辞めることも考えている。お見合いだって……。

「そうだよ、前向きに検討するべきよ」

バッグの中から封筒を取り出した。

俊也さんはきっと、前に進んでいる。だったら私もいつまでも振り返ってばかりいたらだめだよね。

封筒の中から写真を取り、ドキドキしながら開いた。

「――え、どういうこと?」

そこに写っていたのは、俊也さんだった。

もしかしてお父さんが間違えたとか? いや、でもなんでお父さんが俊也さんの写真を持っているの?

だってふたりとも、無理に戻ることないって言っていたよね? 他の人とのお見合いを勧めていたのに……。

写真を眺めたまま茫然としていると、静かな廊下に足音が響いた。

誰か来る!

咄嗟に写真をバッグにしまい、椅子から立ち上がると、オフィスに駆け込んできたのは俊也さ
んだった。

「芽衣……!」

「……俊也さん」