そのまま自分のデスクに戻り、パソコンを起動させるものの、胸の痛みは消えてくれない。

仕事にプライベートを持ち込みたくない。育休中の織田先輩が安心して休めるように失敗なんてしたくない。でも私、このままじゃだめな気がする。

その日からなんとなく求人サイトを見るようになった。もちろん織田先輩が戻ってくるまでは、責任を持って務めるつもりだ。

でも織田先輩が戻ってきた後も、仕事を続けていける自信がなくなっている。

俊也さんは異動になるけど、同じ会社にいることに変わりない。次期社長だもの、嫌でも彼の話は耳に入ってくるはず。どうしたら、愛する人のことを忘れられるのだろう。

でも同じ会社で働いていたら、いつまでたっても忘れられない気がする。

だったらいっそのこと、思い切って転職して新たな生活をスタートさせるのも、いいのかもしれない。

一年あればじっくり仕事を探せるし、それにお金も貯められる。いつまでも甘えて実家にいるわけにはいかないよね。

お兄ちゃんだっていつか結婚するんだ。そうなったら私は邪魔になるもの。