旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~

どこかで座って待っていようと思って周囲を見回すと、コンビニの窓ガラスに映る自分の姿が目に入った。

ロングワンピースにカーディガンを羽織ってきた。……おかしくないよね。

これからのことを考えると、自然とため息が零れる。

空いていたベンチに腰掛けて、おもむろに雲ひとつない空を見上げた。

門脇部長とプライベートで会うのは初めて。普通は彼に会うことに対して緊張してドキドキするのに、私の場合は違う。

今日の服装で実家に帰っても大丈夫か、どんな反応をされるのか。そればかりが気になり、緊張して仕方がない。

大学進学を機に私はひとり暮らしを始めた。学生のうちは何度か帰ってはいたけれど、社会人になってからは足が遠のいていった。

今年の正月にはとうとう帰らなかった。だからえっと……もう一年以上帰っていないことになる。

そりゃ緊張するのも当然だよね。ましてや今日は、門脇部長を連れていくのだから。