「芽衣がやっていた一対一の婚活じゃなくて、もっとフランクな婚活パーティーに行かない? 美味しい料理も食べられるしさ」

そう言いながら見せられたスマホの画面には、色々な種類の婚活パーティーの情報が載っていた。

「ふたりで行ってみようよ」

「……じゃあ、今度ね」

「うん」とは言えなかった。とてもじゃないけれど、まだ新しい恋には踏み出せそうにないから。

それを玲子もわかってくれたようで、「気長に待ってる」と言ってくれた。

その後は俊也さんの話をすることなく、他愛ない話で盛り上がった。



何度か恋愛をしてきた。当然失恋だってしたことがある。時間が経てば、昔のように気持ちは消えていくはず――。

「昴の言っていた通り、本当に芽衣さん料理が上手ね」

「シェフも顔負けじゃないか?」

休日の昼に私が作った料理を食べて口々に褒める両親に、照れくさくなる。するとお兄ちゃんは、得意げ言った。

「そうでしょう? 俺も芽衣の手料理を食べた時はあまりの美味しさに泣いたから」

「泣いたって……。本当に昴は芽衣さんのこととなると、どうしようもないわね」

クスクスと笑うお母さんにつられて、みんな笑ってしまった。