同い年で、名前は姫乃だと聞いた時はイマイチ理解していなくて、会うことになんの抵抗も抱かなかった。新しい友達ができるかも。そんな感覚だった気がする。

姫乃はクラスの女子の誰よりも可愛い子だった。だけど優しくて、なによりよく笑う子だった。
そんな姫乃と仲良くなるのに、そう時間はかからなかった。

「なぁ、姫乃知ってるか? 俺とお前は将来結婚するらしいぞ」

「知ってるよ。俊也は私の婚約者なんでしょ?」

子供ながらに婚約の意味をそれなりに理解し、お互い意識するようになったのは、小学校高学年の頃だった。

中学校からは、両親の計らいでふたりとも大学までエスカレーターで上がれる附属中学校に進学した。

姫乃とは婚約者である前に、彼氏彼女の関係になり、同じクラスだった俺たちは一日の大半を共に過ごした。
中学で出会った昴を中心に、友達に冷やかされても。

「なぁ、俊也。お前恥ずかしくないのか? 彼女といつも一緒にいて」

ある日の休み時間。昴に聞かれた質問に俺は迷いなく答えた。