「おまけに痛そうなほど自分の頬を叩いてた」

「そ、それは活を入れるためでして……!」

声を上擦らせながら説明すると、「わかってるよ」と言う。

「その後、勇ましく仕事を始めた姿にグッときたんだ。あぁ、この子はしっかり自分で反省して落ち込んで終わりじゃない、挽回するために頑張れる子だって。……芽衣って感情豊かで見ていて飽きないよな。次第に目で追うようになり、惹かれていったんだ」

しみじみと話してくれた俊也さんに、恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。だけどそれと同じくらい嬉しい気持ちもあって、胸の奥がむず痒い。

「でも俺、芽衣と初めて会った時から純粋そうな可愛い子だなって思っていたから、遅かれ早かれ好きになっていたと思うよ」

さらりと言われた言葉に、いよいよ顔から火が出そうだ。このままなにも言わなかったら、もっと恥ずかしくなるようなことを言われそう。

そう思い、顔を上げて慌てて口を開いた。

「じゃあ、その……私のことだけ下の名前で呼んでいたのは、好意を抱いてくれていたからですか?」

この機会にずっと気になっていたことを聞くと、俊也さんは目を見開いた。