「唯望、おかえり」

星雅の溜まり場に戻ると、優真くんが笑顔で迎えてくれた。

「あ、あの時の」

優真くんの隣にいた緑の頭の男の子が私を指す。

たしか、ここで目を覚ました時にいた子?

「コイツは叶汰。アホだけど良い奴だから。」

「おい!アホだと?」

優真くんは怒る叶汰くんをサラッと避けると、私のボストンバッグを持って

「部屋に案内するから、ついてきて。」

と爽やかな笑顔で言った。


連れてこられたのは優真くんの部屋。

「クローゼットは自由に使ってもらっていいから。」

といいながら、優真くんはクローゼットを開ける。

そこは空っぽで

「ここ、優真くんの部屋じゃないの?」

「うん、一応そうだけど、俺には総長室があるから、あんまり使ってないんだ。」

「そうなんだ…」

と相づちを打ちながら、壁の1箇所を見つめる。

そこには、へこみを直したような痕があった。