悪いわねえ、と言うと、大家さんはいそいそと通話を終えた。


……どうしよう。


とりあえず部屋に帰って、会社の同僚にでも泊めてもら


「ここにいればいーじゃん。」


後ろから声がすると同時に抱きしめられた。


「ちょっ?!優真くん?!」


さっきまで寝てたはずの優真くんの顔が隣にある。

「なあ、ここにいろって。」


耳元で囁かれて


「あーもう!いいから離して!!」


優真くんを引っ張りはがしてソファに座らせる。


「優真くんがソファで寝ないならいいけど。」

「それって一緒に寝て欲しいってこと?」

「違う。ベッド足りてんのかって聞いてんの。」

大人びた冗談に少しはずかしく感じながら、あくまで冷静に対処する。

セクハラの回避には慣れてるもんね。


「幹部室の奥に寝室があるから足りる。」

…幹部室??

ここは会社なのかな?

「ここについて、教えてやるからついてこい。」

優真くんはそう言うと、さりげなく私の手をとった。