ユリは嫌がりました。しかしカナはユリが困った顔がうれしくてたまらなかったのです。もともとそんな話しをカナはまったく信じていなかったのです。
「ねえ~面白そうだからやってみようよ。ユリ。」
カナは強引な態度にユリは圧倒されました。 「夢を交換するの。でもカナがそう言うなら…‥。」
ユリはしぶしぶ納得しました。 「じゃあ呪文を教えるから絶対秘密だからね。」 ユリの命令口調にカナは腹をたてていました。「まず額に五円玉を乗せて目をつぶる。そして3回まばたきをしてこう言うの。猿は木から落ちない、馬の口ににんじん、豚に貝殻。」「何、それ~馬鹿にしてんの。」
カナは笑いました。しかしユリは真剣な顔をしていました。
カナは真剣なユリがなぜか気の毒になりました。だからと言って同情したわけではありませんでした。
カナとユリはお互いの財布をカバンから取り出し、五円玉を交換しました。その時カナはユリの財布の中が見えました。たくさんお金が入っていました。
カナは悔しくてたまりませんでした。母親の財布にもこんなにお金が入っていたことがないからです。
カナはユリの靴をかくしました。なんだか腹がたったからです。 ユリの困る顔が見たかったからです。しかしユリはカバンからカナが隠した同じ靴を取り出しました。
「こんなこともあるから備えてなくちゃね!。」 ユリはカナを見て笑いました。
その夜、カナは結局ユリの話しを思い出していました。
「嘘だと思うけど、一回やってみようか。」 カナは騙される気分でした。でも嘘でもいいから何かを信じてみようとも思っていました。 カナはユリに言われた通りに、ユリに借りた五円玉を額に乗せ、呪文を唱えました。 いつしか、カナは深い眠りにつきました。
カナは大きなお屋敷の前にいました。そのお屋敷はユリの家でした。