「しっかりと…つけてくださっているということは…期待してもいいということでしょうか?」
勉は、麗奈の鎖骨に光るネックレスに触れた。そのネックレスは、勉が麗奈にプレゼントしたものだった。
勉に熱烈にアプローチされていくうちに、麗奈は少しずつ勉のことを意識するようになっていった。麗奈の心は、勉に揺れていた。
「僕に会う時にこのネックレスをしてくださっているということは、期待しても、よろしいのですね?沈黙は肯定と受け取りますが」
麗奈は顔を赤く染めて黙ってしまった。そんな麗奈の様子に目を細めながら、勉は麗奈の耳に下がる真珠のイヤリングを見た。
「今日は真珠なんですね。似合っている…」
イヤリングも勉から何個かプレゼントされたものだった。今日は真珠にしたのだ、と麗奈は言った。
「覚悟は…決まりましたか?」
勉は優しい反面、強引なところもある。そんなところも好きになったのだと麗奈が頭の中で考えていると、

「ああッ…!」

麗奈の体がぴくんと跳ねた。

「お嬢様…返事をお聞かせいただけますか?」
勉は妖艶な微笑みで麗奈に迫った。
「あ、ああッ…!待って、待って勉さん!」
勉は両手を麗奈の腰へと滑らせ、上下に動かした。
「いつまで待てば、よろしいでしょうか?」
「んんっ…あっ…!勉さんっ…」
麗奈は勉の両腕を両手で掴んだ。
「勉さんっ…お願いします、んっ、ああッ!」
勉の手は、一向に止まらない。
止まるどころか、勉の手の動きは先程よりも激しくなっていた。
「お望みとあらば。しかし、僕の質問に答えて下さらなければ…この手は止められそうにありません」
「私、勉さんのこと…ああんッ!はあ…っ、す、好きです…」
勉の手は、麗奈の腰を愛撫することをやめ、麗奈の肩へと上昇した。
「お嬢様……だいぶ待ちましたよ、僕は。もう、焦らしてばかりの貴女を…待ちに待ちましたよ。はあ……」
勉は、その場に座り込んでしまった麗奈を優しく抱きしめた。
「勉さん、ずるいです…。私の本音を聞きたいからって、私の体に聞くなんて」
そう拗ねる麗奈は、どこか嬉しそうな顔をしていた。
「体は正直ですからね。それに…お嬢様のあまりの可愛さに、理性が吹き飛びました。お許しください」
麗奈は黙って勉の胸で目を閉じた。

「このネックレスは…僕のものだという印、ですからね」

勉はそう言って、更に強く麗奈を抱き締めた。この言葉が、後に勉の独占欲を嫌でも知ることとなるとは、麗奈には予想もつかないことだった。