こころの日常は、また色のない世界に戻った。毎日どれほど泣いても、永遠に癒えない傷だけを抱えて学校に向かう。

気がつけば、こころは三年生になっていた。三年生になっても、将馬は変わらず女の子を落としては振るを繰り返している。

こころは傷ついた女の子を見るたびに腹が立ったが、将馬に何も言うことはできない。将馬とはあの日以来一言も話していないからだ。

三年生になれば、受験や就職でみんな忙しくなる。こころも福祉の専門学校に行くことを決め、勉強に励んでいた。

七月に入った頃、家に帰ろうとしたこころは、自分の下駄箱に一枚の紙が入っていることに気づいた。小さく折り畳まれた、猫の絵が描かれたメモ用紙。

「もしよかったら、三階の空き教室に来てください。あなたは私たちの仲間です」

こころは何のことだろうと思いながらも、メモ用紙の内容が気になったので空き教室に行ってみることにした。

外から運動部の元気な声が聞こえてくる。