「なんてな。おまえのプライベートにまで口を挟むつもりはねぇよ?あ?既に挟んでるか」
「ご心配をおかけしてすみません」
「秘書課のババァなんかにとられてたまるかだよな」
「ババァって…彼女は私より若いんですけど」
纏っているオーラ全体が若いし、私には似合わない短めの丈のワンピースを見事に着こなしている。
彼女のような容姿だったら、私も多くの男性に愛されたのかな…。
「それに星崎課長とお似合いですよ」
彼のような立派な人の隣りには見劣りしない女性が相応しい。私なんかが、そうやって自嘲して見守ってきた。だからこれからも告白するつもりはないし、見守ることに専念するつもりだ。
「それじゃぁおまえと小牧はお似合いなのか」
「…まさか。並んだら顔の大きさが倍以上ありそうで怖いです」
逢瀬先輩は盛大にため息をつく。呆れた顔で、私の頭に手を置いてきた。
「恋に妥協は不要。おまえらしくやれ」
「努力します」
妥協か…でも、先輩。
やっぱり諦めないといけないこともあると思うんです。特に私のような何ももっていない女は…諦めないと、いけないんです。


