運命だけを信じてる


月曜日。
いつものことのように1週間が始まった。

始業前に給湯室で珈琲を淹れる。
仕事量は多くても心に余裕をもたないとね。



「おいおい、お前」


背後から聞こえた不機嫌な声に振り返ると、気怠げに首を回した逢瀬先輩が立っていた。



「突然なんでしょう」


「星崎課長から聞いた。2人で得意先に行ったんだってな」


「え?なんで知ってるんですか?」


「そりゃぁ俺は星崎課長の相棒だからな。仕事上のことで俺が把握してないことはねぇ」


そうだよね。得意先の情報交換は必須だ。身構えるような話題ではない。



「で?なんか進展あったの」


「あると思います?」


インサートカップに逢瀬先輩の分も注ぐ。

絶対に分かって聞いてますよね?
まったく意地悪な先輩だ。