どんどん箸が進み、追加で注文をする。
「自分が逢瀬先輩にしてもらったことを、小牧さんにもしてあげたいのですが。彼は優秀すぎて、私が手を貸してあげることなんてなさそうで…少し悩んでます」
「そうやって小牧のことを考えているだけで十分だよ。今度、小牧も交えて飲みに行こう」
「はい。小牧さんも喜びますね」
「前山、これからも小牧のことを頼むよ」
「はい」
営業部門に居た頃から星崎課長には数え切れないほどの恩がある。それもOJTを引き受けたことの理由のひとつだ。
小牧さんに失望されそうだけど…。
好きな人と食事をして喜んでいる行為自体、彼の想いを裏切っている。
付き合うと返事をしたばかりなのに、この心は誤魔化せずに浮かれてしまっていた。
これじゃぁ失望されてもおかしくないよね…。


