運命だけを信じてる


今日は大好きな笑顔を独り占めしてしまっている。なんて贅沢な日だろう。


「もう仕事は終わりだから。リラックスしてね」


「はい」


「昔から俺の好きな店でね。お洒落な店ではないんだが、前山は気に入ると思うよ」


「行きたいです!」


本当に今日はなんのご褒美!?
しかしすぐに美しい顔が浮かんだ。


「東 飛鳥さんは大丈夫ですか?真っ直ぐ帰ったほうが…」


「部下に少し遅いランチを奢るくらいで、彼女は何も言わないよ」


「そうですよね…」


笑顔を貼り付けて笑う。

東 飛鳥さんは彼女で、私は部下。
そうきっぱりと境界線を引かれ、急に萎んだ心は正直すぎる。


分かっている。
この片思いに終止符を打たない限り、私の傷口は開き続ける。決して塞がらないのだ。