運命だけを信じてる


私の手から書類の束を奪うと、ノックもせずに中に入ってしまった。


「失礼します。会議資料をお持ちしました」


「ああ、小牧。ありがと」


星崎課長の声に安堵の色が含まれていることを感じ取る。ううん、私の都合の良いように受け取っているだけだ。

恐る恐る会議室へと足を踏み入れる。


「東さん。悪いけど会議の準備があるから、話はまた後ほどお願いします」


「今夜、家に行ってもいい?ゆっくり話がしたいの」


「……ああ、分かった」


家に行き来するような仲なんだ…。

嫉妬が渦巻く。



「発表、頑張ってね」


邪魔をされたことが気に入らないのか、東さんは私と小牧さんを一瞥して出て行った。

美人が凄むと迫力があるなあ。