翌日、昨夜作り上げた会議資料を会議室に運ぶために扉を開ける。
中から、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「私、その画家さんと知り合いなんですよ。宜しかったら食事会をセッティングしましょうか」
「え、そうなの?すごいなぁ」
見覚えのある後ろ姿、星崎課長とーー、秘書課の東 飛鳥(あずま あすか)さんだ。
「では来週、星崎課長が空いている日を教えてください」
「その気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう」
「そんなぁ」
残念そうな声が響く。
なんとなく入りにくい雰囲気で、廊下に立ち尽くす。
短めのタイトスカートから美脚が覗き、パッチリとした目と長い睫毛。お人形のような顔立ちで、文句のつけどころがない。痩せてるのに胸だって大きいし…。
そこにいるだけで華やかな彼女は社内のアイドルで、社長令嬢だ。全てを持っている女性。


