これからも私は髪色のことを小牧さんに触れられないだろう。
大丈夫、彼に金髪は似合っているから。
そんな理由しか答えられない自分に彼女が務まるかは分からないけれど、今はただ小牧さんの気持ちに応えたいと思う。
「まぁそんなとこだ。説教くさいこと言ったお詫びに、奢るよ」
「本当ですか?デザートのアイスも追加で良いですか」
「はあ?」
「バニラアイスお願いします!」
タイミングよく顔を覗かせた店員さんに早速注文する。
逢瀬先輩の気遣いはしっかり心に受け止めておこう。
「おまえはもっと先輩を敬えよ」
「尊敬してますよ。だから逢瀬先輩のおっしゃることは正しいと思います。心配してくれてありがとうございます」
心を込めて頭を下げる。
「可愛い後輩を心配するなんて当たり前のことだろ」
何度も私を助けてくれて背中を叩いてくれた逢瀬先輩のように、OJTとして恋人として、私は小牧さんになにをしてあげられるのだろう。


