「へぇ、課長とですか」
苦笑い。
もう私の前では笑ってくれないのかな。
笑う理由もないからね…。
「小牧さんは、雲田さんの前だとよく笑いますね」
「え?」
「あ、いえ…失礼します」
逃げるようにエレベーターホールに向かう。
しかし戻る場所は同じなので、小牧さんも後に続いた。
「課長とは上手くいきそうですか?」
「え?」
「僕はあなたを応援してます」
ーー応援してます。
なにそれ。他人事みたいに。
ーー僕は前山さんを好きになる運命だったのです。僕はあなたの全部が好きですよ。
その言葉は、ただの口先だけ?
雲田さんがいるからもういいの?
「おかげさまで、上手くいきそうです」
後、私が返事さえすれば…。
「良かったです」
「ありがとうございます」
お互いにそっぽを向いたまま、エレベーターに乗り込んだ。


