運命だけを信じてる



ーー僕は前山さんを好きになる運命だったのです。僕はあなたの全部が好きですよ。


優しい声。



「小牧さん…」



自分の声が耳に届き、慌てて目を開ける。
中央の柱時計を見るとまだお昼休み中でホッとした。



近くの公園で目を瞑っていたら、眠ってしまったようだ。


小牧さんの台詞が鮮明に思い出された夢だったな…。




この公園はいつか星崎課長に連れられて、慰めてもらった思い出の場所だ。

初めて課長のことを好きだと自覚した日でもあったな。


誰もいないため、大きな欠伸をする。

早く帰って寝たい…。



のろのろと会社に戻る。



そして会社のエントランスに辿り着いた時、小牧さんがいた。


その隣りに、未来プロジェクトの講師を務めた彼女もいる。


雲田 夏帆さん。
ゆるふわボブヘアーと、今日は赤縁眼鏡をかけ、ワイドパンツというカジュアルな格好だった。


受付の側で2人は楽しそうに談笑していた。