運命だけを信じてる



「親の力に頼らない小牧くんは立派だと私も思います」


物静かな総務担当の平井さんも口を開いた。無駄口は叩かない代わりに肝心なことはきちんと伝えてくれる大先輩だ。


「そうよね!凄いことよね!」


「ですよね!」


杉山さんも茜さんも同調する。

良かった…。
管理課のみなさんが良い人で本当に良かった。

今まで通りとはいかないけれど、それでも出来る範囲で変わらず接してくれるだろうから。


「ありがとうございます。みなさんの力になれるよう早く一人前になります」


再度頭を下げて自席、つまり私の隣り小牧さんが戻って来た。


どうにか逃げずに目を合わすことはできたけれど、言葉をかけることはできなかった。