運命だけを信じてる


思考がついていかない。

目の前の光景を他人事のように眺めている。


「2人とも。外で話そうか」


飛鳥さんを支えて立たせた星崎課長は冷静だった。


涙を止められないのか飛鳥さんの大きな目から雫が流れ続ける。その涙の量が、星崎課長への想いを表しているかのようで、こちらまで哀しい気持ちになってくる。

事情は知らないけれど好きな人と結婚できると思った矢先、それは夢でした。そう言われたら、きっと私も大泣きするだろう。


両端に立った男2人は彼女を支えて、事務所の外に出て行った。


一瞬、小牧さんと目が合った気がしたが、すぐに逸らされてしまった。






「どいうこと?この状況はなに?えええ?」


やはり一番最初に口を開いた杉山さんが、興奮しながら茜さんの肩を叩いていた。