運命だけを信じてる


記憶が新しいうちにとキーボードを叩く。


「あー、未来プロジェクトのレポートかあ」


栄養ドリンクを飲みながら逢瀬先輩は私の椅子の背もたれに手をつき、パソコンのモニターを覗き込んできた。


「はい。忘れないうちに書き上げようと思いまして」


1白2日のプロジェクトに参加したおかげで仕事は山積みだが、まずはレポートに手をつけた。



「美味いもの食えた?」


逢瀬先輩にとっては何気ない質問だろうけれど、嫌な汗をかく。

幸い小牧さんは課長と隅の打ち合わせスペースで話し込んでいて、聞こえていないだろう。


「私、疲れてしまって、それで外食は控えて頂きました。すみません、逢瀬先輩がせっかく…」


「前山ちゃんが誘い断るなんて珍しいな?マジで体調悪かった?それとも他に理由が…?」


鋭い視線を向けられた。
やはり逢瀬先輩には敵わない。


「…後で」


小さな声で告げると、逢瀬先輩は黙って頷いてくれた。


「それより前回の逢瀬先輩のレポート、参考にさせてくださいよ」


「先輩を頼ろうなどと、100年早…」


バンッ、

逢瀬先輩の言葉の途中で、管理課のドアが乱暴に開いた。