「無理しないでください。でも大丈夫そうなら、一緒に部屋で食べましょうか。僕、買って来ますから」
「けど大阪まで来て、コンビニって味気ないですよね」
「そうですか?僕はあなたと一緒なら、なんでも美味しいので問題ないです」
小牧さんは本当に優しさの塊だ。
身勝手な私のワガママに振り回してしまっている。
「髪を乾かしている間に、さっと買って来ますね。なんならその辺でたこ焼きのお持ち帰り出来るか聞いて来てもいいですし」
もし私がおかしな気を遣わず、2人で外に出掛けていたら。今頃、美味しい大阪名物を堪能していたはずだ。
「なんで…いつも優しくしてくれるのです?私、あなたに優しくされる価値なんて少しもないです。長所なんてひとつもない人間で…」
思わず口にした本音に、小牧さんは笑った。
「好きな人に優しくする理由なんて、ありますか?ただただ好きだからです」
答えは、あまりに真っ直ぐだった。
「それに。優しさだけで出来ているわけじゃないです。この部屋で、どうしたらあなたを抱けるか、そんな愚かなことを頭の片隅では考えてもいますよ」
小牧さんが距離を縮めてきたけれど、もう逃げなかった。
私は小牧さんに押されるようにして、ベッドに沈んだ。


