3人で行きませんか、
そう誘った方が自然だったけれど。
2人の空間に私は入れない。
一緒に行って居心地の悪い思いをするくらいなら、最初から断った方が自分のためだ。今日は仕事で来ているんだし。
「もしかして私に気を遣ってくれてる?私のことなら気にしないでください」
「い、いえ。実は私、少し疲れたのでこのままホテルで休みたいなって…」
夏帆さんは首を振って遠慮してくれたけれど、私は一歩後退した。
小牧さんはきっと私より、夏帆さんとの方が楽しい食事を取れるはずだ。私にはあの笑顔を引き出すことはできないから。
「大丈夫ですか?」
「はい!眠ったら治ると思いますので。今日は失礼します」
これで良い。
これで良いんだ。
2人に頭を下げて踵を返す。
ああ、なんか。
本当に体調が悪くなってしまった。


