運命だけを信じてる


未来プロジェクトに参加するため、朝早くから新幹線に乗り込む。

小牧さんに窓際の席を譲ってもらい、駅弁を食べて小旅行気分だ。


そして小牧さんは乗り込んだ時の宣言通り、静かな寝息を立てていた。目を閉じても綺麗な顔は変わらず、見惚れてしまう。


そうだよ、私…素敵な彼氏がいるんだ。

小牧さんと付き合うと決めた以上、もう寄り道は止めよう。

星崎課長を愛した気持ちは消せないけれど、新しい恋に向かえない理由にはならない。星崎課長は幸せになるのだから、私はなにも考えずに小牧さんの胸に飛び込めばいいのだ。



「あら」

小さめのキャリーバッグを引きずるサングラスをかけた女性が私たちの座席で足を止めた。


ゆるふわボブヘアーのパンツスーツを着こなしたその女性は手を伸ばし、躊躇うことなく小牧さんの肩を揺らした。


なっ…。


「真矢、」


はっきりと女性が口にしたシンヤという名前が新鮮に聞こえた。

ああ、私は彼の名前をまだ呼んだことがなかったな。