「あなたは痛いところを突いてきますね」
「事実を述べたまでだ。管理課にはロクな奴はおらん。飛鳥も星崎に騙されているからな」
「婚約や挙式は本当ですか?」
「そうらしい。社長が許可したようだ。俺は我が東家に星崎が加わることは断じて認めない。管理課ごと潰してやる」
そっか……。
秘書課の飛鳥さんのお兄さんが認めのだから、杉山さんの噂話はホンモノだったのだ。
「管理課は関係ないでしょう」
「いいや。星崎の息の根がかかった部署は解散すべきだ」
「あなたのわがままで管理課は潰させませんよ。僕の母は弁護士ですからね。法廷で争うことになります。そんなことになったらうちの会社の評判はガタ落ちですね」
淡々と話す東課長に対して、小牧さんの言葉には余裕があった。背を向けているからその表情は見えないが、きっといつも通りだろう。
頼もしいと思った。
ここまで東課長が星崎課長を毛嫌いする理由は知らないし、知りたくもないけれど。管理課まで巻き込もうとしている。どこまで汚い人なんだ。
私が1課に所属していた時と、なにも変わっていない。
「おまえになにができる?せいぜい足掻け」
東課長は口の端を上げて小牧さんを蔑むと、開いたエレベーターに乗り込んだ。


