運命だけを信じてる


「小牧さん。村井さんの件、本当にありがとうございました」


「いえいえ。僕が勝手に出しゃばっただけですから」


「情けないですよね…」


「水原さんの仕事を手伝ったり、連休前で忙しかったからですよ。誰にでもあることです。それに、」


不自然なかたちで言葉を切り、立ち上がった小牧さんは少し距離のあるゴミ箱にカップを投げ入れ、見事に命中した。


「前山さんだからです。他の誰かであったなら、見て見ぬフリをしました」



私を想う言葉が真っ直ぐに飛んでくる。
どうして小牧さんはいつも私のことを考えてくれるのだろう。


「僕はズルい大人なんです。ガッカリしました?」


「そ、そんなことは!」


勢いよく首を振る。
私のためにしてくれたことに、ガッカリするはずなんてない。


「あなたのためなら僕はなんでもしますよ。他の誰に恨まれようと関係なしに、全てしますから」


真剣な目で伝えられ、思わず頷いてしまう。


これほどまでに誰かに愛され、大切にされたことのない私はどんな反応をすれば良いか分からず、ただ「ありがとうございます」と心から言った。