運命だけを信じてる


3人で手分けをすると、30分もかからずに資料が完成した。元々、そんなに手間のかからない仕事だったのに、後回しにしたせいで大事になってしまった。


「申し訳ありません」


会議の休憩中に現れた星崎課長に報告する。


「そうか。分かった。営業部には俺から謝っておく。フォローしなかった俺も悪いから、気にするな」


星崎課長は怒るどころか終始穏やかに話を聞いてくれた。


「小牧も機転を利かせてくれてありがとう」


「いえ」


指導する立場の私が後輩に救われるなんて。本当はあってはならないことだ。やっぱり私はダメだな…。


落ち込んでいた矢先、更に嫌なことが耳に入った。




「星崎課長!秘書課の東 飛鳥さんと婚約したって本当なの?」


情報通の杉山さんが空気も読まずに課長に詰め寄ってきたのだ。

管理課の中で最も勤続年数が長い杉山さんだからこそ聞けた質問。それも業務時間に。


「どうなの?まさか婚約までいくとは思わなかったわ。あの子のアプローチが激しくて、遂に課長も折れたの?」


「いやまぁ…その、色々ありまして」


否定、して欲しかった。
照れ臭さと苦さが入り混じった反応に、私はぼんやりと2人を見ていた。