運命だけを信じてる


茶葉を戸棚から出しながら思う。


ああ、こんな時だ。
こんな時、好きだと自覚する。


小牧さんは優しくて、頼りになって。
素敵な人だと思う。


でも今はまだ星崎課長の背中を追わずにはいられない。反射的に彼を目で追ってしまうことも、どうしようもない。


話してみようかな。
小牧さんに。
星崎課長のことを正直に。
それでもまだ小牧さんは私を好きと言ってくれるのだろうか。





入れたお茶を飲んでから星崎課長は帰って行った。


「このお弁当、すごく美味しいね」


「はい、美味しいです」


「さすが星崎課長。センスあるわ」


甘酢味のお肉と野菜炒め、いい焼き加減の目玉焼き、五穀米。女子が好きなものを星崎課長はちゃんと把握しているんだ。

美味しいものを食べると自然に笑顔になれて、温かいお茶で肩の力が抜けた。