運命だけを信じてる


翌日、ゴールデンウィーク1日目。
後少し。1時間以内で終わるだろうと目処が立ったところで、オフィスの扉が開いた。

キーボードとマウスを操作する音だけがするオフィスに靴音が響く。



「課長!?」


驚いた声を上げる水原さんの隣りで、私服姿の星崎課長に見とれていた。


半袖のシャツに紺のパンツ。
日に焼けた鍛えた腕に、目を奪われる。



「昼飯まだだろ?少し早いが、休憩にしなさい」



お弁当の入った紙袋を打ち合わせスペースのテーブルに置いてくれた。

紙袋に記されたロゴは女性に人気なカフェのものでヘルシー弁当で有名なところだ。平日のランチタイムは長蛇の列でなかなか食べられない。


「この度は申し訳ありませんでした」


水原さんは深々と頭を下げる。



「別に水原の責任でないだろ。2人に任せて悪いな」


「それでも私がきちんと保存しておけば良かったので申し訳ありません」


「大丈夫だよ、管理課の責任は俺にあるからな。それより終わりそうか?」


「はい。後1時間程です」


「そうか。じゃぁ早く食え。前山、お茶を淹れてきてくれ」


「はい、すぐに!」


良かった。星崎課長は分かってくれている。
きっと水原さんの気持ちも楽になったはずだ。